朱子は如何に学問を成し遂げたか
イヌドラゴラ
(枸杞伝説)
前のお話し:【狗妻子】(枸杞伝説)
マンドラゴラという、魔法使いの薬草があります。
根っこがヒト型で、引き抜くと恐ろしい絶叫を発し、その声を聞いた者は精神薄弱者になってしまいます。
ところが、枸杞(くこ)の根っこは、さらにおそろしい。
根っこが犬型で、食べたらなんと、恐ろしく元気になってしまいます。
朱という儒生が、ある日、小川のそばの小道を散歩しておりました。
すると道端に斑(まだら)の子犬が2匹うずくまっています。
そこで石を拾って、子犬たちに向かって放り投げました。
朱という儒生は、この子犬たちに、何やら妖しいものを感じ取ったのです。
子犬たちは小川の土手の枸杞の繁みに逃げ込み、姿を消しました。
この儒生さんは、後に大変な大家(たいか)となるのですが、不可思議なものや妖しいものが許せない性質(たち)でした。
儒生さんは子犬たちを探すのですが、探しても探しても全然見つかりません。
奇異に思った儒生さんは、棒切れを拾ってきて、枸杞の根元を掘ってみました。
すると案の定、掘り出したその枸杞の根がなんと犬型をしていました。
しかも、そのマダラ模様が、先ほど見かけた子犬と同じです。
これは、いけない。
不思議なことなど、この世に有ってはなりません。
普通ならそのままうっちゃって行くとこだと思うんですが、この儒生さんは、
犬型の枸杞の根を持って帰って、煮込んで食べてしまいました。
きっと、不思議なものを、この世から消したかったのでしょう。
翌日の朱という儒生さん。
気力充実、体も軽くなって、耳聡く、視力も向上。
その後、この枸杞の根の効力を活かして、朱という儒生さんさんは功名を遂げ、80歳になってもなお現役だったといいます。
ナニが現役だったのかは、知りません。
次のお話し:【西太后・地骨之皮】(枸杞伝説@西太后)
だからって、良い大人は『朱という儒生さん』の真似をしないで下さい。
枸杞の根は医薬品なので、日本で勝手に食べたら薬事法違反でとっ捕まります。
このお話しに、余分な解説をつけたものか迷うところですが、
原話にも明記はされていなかったのですが、「朱」という「儒生」さんです。
この『朱という儒生さん』は、朱子学の朱熹(しゅき)のことだと思います。
朱子学は、日本では「武士の経典」になりました。
朱子学では「お化けなんかないさ」が教義です。
お化けとか怪奇現象は、陰陽の作用でそう見えるだけのもの。
その割りに、宮本武蔵なんかは姫路城でお化け退治をしてるんですが。
そんな風に、道教にべったりの庶民にすれば、宋学(朱子学)なんてただの小理屈に過ぎません。
他人を小馬鹿にして能書きたれる朱子学の学者さんを揶揄する、趣味の悪い遊びも有ったようです。
「おい宋学じゃあな、男が女性とHする時も理論的に実践するそうだ」
一突き目は、ご先祖供養のために、つん
二突き目は、少子化対策のために、つん
三突き目は、生物の発育を願って、つん
「へー、じゃあ、四突き目は?」
「ああ、あいつら、三突きで終わりだわ」
上手に出来た! |
碌でもない笑話もあったものです。
このお話しも、その類型のひとつだと思います。
一応、「枸杞の古株は根が犬形になる」なんて話が有ることは有るのですが、
画像見ても全然イヌ型には見えませんよね。
【おまけ】人形(ひとがた)植物のお話し
本草綱目-何首烏(かしゅう) |
『何首烏(かしゅう)』という薬草が有ります。これは西太后烏髪食譜の食材にもよく使用される漢方薬です。
また、『鶏尿藤』という薬草もあります。
この両者の古株の根っこが、“ヒト形になる”と言い伝えられています。
20年モノとか30年モノの古株は、です。
そして時折、実際に「ヒト形そっくりの株」が掘り出されて世間を賑わせます。
「何首烏」の方は元来、根っこが二股になるものらしく、男女一対の形状になったりするのです。
双子だからたぶん何首烏 |
ただどうも、あまりに「ヒト形」に近いモノは・・・、
型にはめて作った疑いが濃いようです。
で、出来の好いものは高値で取引されると。
ざっと見、200~600元くらい、現在はもっと高価いかもしれませんね、3000円~1万円くらいでしょうか。
出来上がるまでに数年かかるようですから、日本目線ではそう高いとも思わないのですが。
むしろ、バカバカしいのを通り越して、ちょっと面白いと思うんですが。
いっそ妖艶な美女型や可愛い動物型に仕上げて、産業化して輸出したらいいのにね。
面白がって買うヒトいると思います。
ただ中華では、人形何首烏には特別な薬効があると信じて買うヒトが居る点が問題になっちゃっています。
何首烏に限らず、珍貴なニセモノ漢方薬は、イロイロと有るようで。
YouTube『四川で掘り出された千年人形何首烏』
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