天仙の舞い、玄宗皇帝の芸術魂
虹色羽衣の曲
(中秋伝説)
前のお話し:【貴妃の月】(中秋伝説)
「広寒府」、なぜか表札が簡体字 |
錦秋の月、見あげる玄宗皇帝。
かたわらには道士の羅公遠、羅公遠は玄宗皇帝が趣味で飼っている方術使いのひとりです。
今回はオヤジの2人組みなので、少々ロマンに欠けます。
玄宗皇帝は月を見ながら、
「月がまるい」
「まるい月はお嫌いですか?」
羅公遠が穏やかに問いかけた。
「嫌いだよ、丸いのに
丸い月の、何がおもしろいのだ?」
「面白いですよ、ご覧になりますか?」
羅公遠はは手にした杖を天空に向け、なにやら呪文を唱えました。
すると、杖は長い長い橋になり、天空に架かりました。
「さあ参りましょう、皇帝」
ふたりが長い橋を渡っていくと、だんだんと体が軽くなってきました。
「おいおい、このまま仙人になるんじゃなかろうな?」
「なりませんな、でも気をつけてください
橋から落ちたらそのままスペースデブリにはなりますな
月では、体重が6分の1になるのです」
くだらないことを言っていると、忽然と仙宮が現れました。
扁額(へんがく)をみると、『広寒清虚之府』とありました。
これが月宮の正式名称のようですが、俗には『広寒府』と略されます。
中を窺うと、仙山と楼閣があって、ウサギが何かを捏(こ)ねています。
ウサギのそばの嫦娥仙子が、2人を出迎えてくれました。
嫦娥仙子がふたりをもてなします。
天仙たちの歌声と天女の舞いと、仙餅を食べながらタップリと観賞しました。
(こら、嫦娥は月で独り寂しくじゃなかったのか?)
貴重な月宮での体験。
玄宗皇帝の頭の中には、月宮で聴いた音楽が、今も流れています。
そこで玄宗皇帝は、この音楽を譜面に落としました。
そう、なんと玄宗皇帝は絶対音感の持ち主だったのです。
実は楊貴妃も絶対音感の持ち主で、だからこの2人は引っ付きました。
この時、玄宗皇帝が譜面に落とした『霓裳羽衣の曲』は失伝したとされますが、
なぜか現代技術で再現されて、YouTubeにもupされています。
『霓裳羽衣(げいしょううい)』は、「虹色はごろも」という意味です。
Youtube:「霓裳羽衣の曲」
次のお話し:【愛情月餅】(中秋伝説)
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