錦秋の月、月が楊貴妃を魅入る、ああ、ロマンが・・
貴妃の月
(中秋伝説)
前のお話し:【玉兎児】(中秋伝説)
月餅(げっぺい)の名の由来は、公式には蘇東坡(そとうば)とされているのですが、
「小餅如嚼月」という句が、月餅の語源とされているのですが、
でも蘇東坡は宋代、月餅は唐代の昔からありました。
その昔、月餅は小餅(シャオピン)とか胡餅(フーピン)とか呼ばれていました。
古い歴史資料なんかに、そんな表記があるわけです。
いつの頃からか月餅(ユェピン)という表記が出てきて、誰がいつ名付けたのか判然とはしていません。
錦秋の月、見あげる楊貴妃。
かたわらには唐玄宗(唐朝7代目)、玄宗皇帝は月よりお餅のようです。
配下からの差し入れをパクつきながら、なにかぼやいていました。
芸術家気質の玄宗皇帝ですから、きっとお仕事上のストレスは多いのでしょう。
「ふん、丸い月を見てなにが嬉しいのだ
月は十六夜(いざよい)に限るだろう
あの欠けていく切なさよ
色即是空空即是色、祇園精舎の金がない」
なに言ってんだかわかりません。
楊貴妃は、そんな玄宗皇帝のボヤキを聞きながら過ごす時間が好きなようでした。
「だいたい小餅(シャオピン)とはなんだ、芸がない
胡国風に胡桃(くるみ)を入れたから胡餅(フーピン)だ?
つまらん
もっと良い名をつけろ、わしが名付けてやろうか
『満月焼き』てのはどうだ、姉妹品の『十六夜焼き』もどうぞ」
楊貴妃は聞くともなしに、ただ月を視ています。
「わしは胡餅(フーピン)って語感が大嫌いだ
全然、音楽的じゃないじゃないか」
月を観る楊貴妃。
「なんだこの、溜息ついて穴があいたような音感は」
月が楊貴妃を魅入る。
楊貴妃のなかで、何かが満ちました。
「月餅(ユエピン)」
楊貴妃の口からなんとなく滑り出た、たったひと言。
おお、月餅(ユエピン)、すごく音楽的な響きじゃないか。
満月のように丸かった月餅が、かじる度に欠けていくさまは、まるで満ち欠けする月にも似て、乙女心を唄っているようではありませんか。
玄宗皇帝はさっそく、歌を1本つくりました。
「月餅(ユエピン)代表(ターイピャオ)我(ウォ)ー的(ディ)ー心(シン)~」
Youtube:「月亮代表我的心」
玄宗皇帝は『月餅(ユエピン)』の語感が気に入り、その名はいつか世に伝承していきました。
次のお話し:【虹色羽衣の曲】(中秋伝説)
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